昨年4月のパナマ文書のリークを受けて成立した「租税回避を防止する租税回避防止法(Steuerumgehungsbekämpfungsgesetz)」が6月25日に施行されました。本法の主な規定内容は下記のとおりです。
• ドイツ租税通則法第30a条による金融機関の税務上守秘義務が廃止され、税務当局が守秘義務の制限を受けることなく、税務上重要な取引詳細を得ることが可能になる。
• ドイツ租税通則法第93条改正により、外国に居住している納税義務者が、国内で収益を得た場合、税務上重要であれば金融機関に納税義務者の口座詳細の提示を要求することができる。
• 従来第三国に所在する法人や財団、支店を設立、買収、売却する際、税務当局に申告する義務があったが、ドイツ租税通則法第138条改正により、納税義務者が直接もしくは間接的な支配関係にあり、財政ならびに経営上影響を及ぼす法人が第三国に所在する場合、その事実関係と経済的活動内容の申告が義務付けられた。本規定は2017年12月31日以降発生した商取引から適用。申告は2018年度の確定申告の枠内で行う、もしくは会計年度が終了した時点から起算して14カ月以内に税務当局の所定の申告書で行う。
• ドイツ租税通則法第138b条の新規定により、金融機関がコンサルティング、融資、仲介など国内納税義務者の商取引をサポートした場合、税務当局に通知しなければならない。
• ドイツ租税通則法154条改正により、金融機関の口座における身分証明審査義務が強化。口座名義人や代理人の氏名、生年月日、住所、税番号やID番号を記録し保管する。
• ドイツ租税通則法第370,371,376,379条改正により、納税義務者が第三国に所在する企業と直接または間接的な支配関係にあり、脱税を行った場合、国内同様10年間の公訴時効が適用される。