ブースター接種を国内在住者が全員、受けられるようにすることを国と州の保健相が決めた。接種完了から6カ月経っていれば誰でも対象となるわけだから、ホッとした人も多いだろう。
それにしても今回の決定までの時間はずいぶん長かったと思う。ドイツ政府はすでに初夏の時点で来年、計2億回分以上のワクチンを手配する方針を決めていた。そのなかには未認可の製品も含まれていたものの、認可済みで効果も高いビオンテック/ファイザー連合とモデルナの製品だけでも約1億2,000回分に上っており、政府は当初から、希望者全員が追加接種を受けられる態勢を整えていたのである。
他国に先駆けて接種を開始したイスラエルなどでは、ワクチンの効果が時間の経過とともに弱まり、ブレークスルー感染が6月以降、急速に増えていたという事情もある。
それにもかかわらず、ドイツがブースター接種の全面解禁をこれまで見合わせてきたのは、おそらく国際的な批判を避けたいという思惑があったためだろう。十分な量のワクチンを確保できない途上国では接種率が極めて低い水準にとどまっており、国際保健機関(WHO)は先進国にブースターの見合わせを強く要請してきた。そうしたなかで追加接種を大々的に行うわけにもいかず、高齢者や免疫力の弱い人に限定してきた。ここにきて国内の感染者数が急増し、医療体制にも黄信号が灯り出したことから、全面解禁の大義名分が出来たわけである。