欧州連合(EU)の欧州委員会はこのほど、独エネルギー大手エーオンがドイツ国内のガス貯蔵施設を他社に開放してガス供給事業における同社のシェアを縮小する方針を打ち出したことを明らかにした。競争法違反に対する制裁措置を回避する狙い。欧州委はエーオンの提案が市場に与える影響を分析したうえで、同社に対する調査打ち切りの是非について最終判断する。
\EU域内では2007年7月から電力・ガス市場が自由化されたが、いまだに多くの国で旧国営企業などによる実質的な独占または寡占状態が続いている。欧州委は域内のエネルギー市場で競争を促進するため、06年に仏独などの主要エネルギー企業に対する本格調査に着手した。エーオンに関しては、液化天然ガス(LNG)の輸入基地を独占的に使用するなど、他社がガス貯蔵施設にアクセスできないようにして新規参入を阻んでいると指摘。こうした商慣行はEU競争法が禁止する独占的地位の乱用にあたるとして同社に改善を求めていた。
\エーオンのガス供給子会社エーオン・ルールガスによると、同社は2015年10月1日までにガス輸送部門との長期契約に基づく取扱量を輸入総量の54%まで引き下げ、残りを他社に開放する方針を示している。欧州委はエーオンが提示した公約が実行されればドイツのガス市場で大幅に競争が促進され、需要家にとって選択肢が増えるとして同社の提案を歓迎した。
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