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2010/2/10

経済産業情報

印刷管理でコスト削減、建設・医療機関で余地大

この記事の要約

景気低迷で経営環境が厳しさを増すなか、印刷コストの削減に目を向ける企業が増えている。英民間調査機関の経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)の調査によると、ドイツの国内企業の印刷関連コスト(新聞・雑誌・書籍は除く)は年間 […]

景気低迷で経営環境が厳しさを増すなか、印刷コストの削減に目を向ける企業が増えている。英民間調査機関の経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)の調査によると、ドイツの国内企業の印刷関連コスト(新聞・雑誌・書籍は除く)は年間337億ユーロに上るが、印刷環境を最適化することで10%圧縮できるという。CEBRは特に建設業界と医療機関でコスト削減の余地が大きいと指摘する。

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レーバークーゼンの民間病院Klinikum Leverkusenは、Triumph-Adler(TA)に院内の印刷環境(プリンター、スキャナー、コピー機、ファクス)の見直しおよび機器の維持・管理業務を委託した。TAは印刷関連機器の配置や台数、使用頻度など分析し、現場で機器を使用する看護婦や医師らの意見を取り込んだうえで、668台のプリンターを550台の多機能機に入れ替えた。この効果は絶大で、同病院のオーデンダール管理局長は「従来に比べコストを4割削減できた」と驚きを隠さない。

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ただ、こうした総合的な管理システムの導入に踏み切る企業はまだ少ない。IT市場調査会社IDCが独国内の511社を対象に実施したアンケート調査によると、プリンター配置の見直し・最適化といった管理システムを導入済み、あるいは導入予定の企業は4社に1社に過ぎなかった。社内文書のデジタル化、セキュアプリントシステムといったドキュメントソリューションを導入している企業はさらに少なく、計画中を含めても6社に1社にとどまる。導入していない企業に理由をたずねたところ、「導入費用が確保できない」「任せられる人材がいない」「経営陣から理解・支援が得られない」「大幅なコスト削減ができると思わない」などの回答が目立った。

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一方、実際に導入した企業にコストをどの程度節約できたか質問したところ、「15%以内」が3社に1社で最も多く、「15~30%」は5社に1社、「30%以上」は10社に1社だった。満足度に関する質問では84%が「満足」と回答しており、「不満」は16%にとどまった。

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