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2010/2/3

ゲシェフトフューラーの豆知識

独語能力不足理由の解雇は妥当

この記事の要約

ドイツ語の読解能力不足を理由に解雇されたスペイン人の被用者が解雇は一般平等待遇法(AGG)で禁じられた民族差別に当たるとしてその取り消しを求めていた係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は1月28日、この訴えを退ける判 […]

ドイツ語の読解能力不足を理由に解雇されたスペイン人の被用者が解雇は一般平等待遇法(AGG)で禁じられた民族差別に当たるとしてその取り消しを求めていた係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は1月28日、この訴えを退ける判決(訴訟番号:2 AZR 764/08)を下した。判決理由で裁判官は、業務上必要な言語に関する能力を雇用主が被用者から要求することは、AGG3条2項で禁止された間接的な差別(mittelbare Benachteilung)には当たらないと指摘。原告勝訴を言い渡した下級審判決を破棄した。

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原告は1948年生まれで、スペインの学校を卒業。78年から被告の自動車部品メーカーで勤務していた。

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被告企業は2001年、原告が業務上必要とする能力の1つとしてドイツ語があることを職務明細書契約で確認したうえで、原告が勤務時間中に会社の負担でドイツ語研修を受ける便宜を図った。原告は同研修を03年9月に終了したものの、依然として能力が不十分だったため、被告はドイツ語研修をさらに受けるよう何度も促した。この要求を原告は毎回、拒否した。

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一方、被告企業は04年3月、品質規格に関する認証を取得した。これに伴い原告は同認証に基づくドイツ語の作業・検査マニュアルを読む必要が生じたが、内容を理解できていないことが社内試験で判明。雇用主はドイツ語能力を向上させる措置を取るよう要求した。

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それにもかかわらず原告が拒否を続けたため、雇用主は06年2月、ドイツ語能力を向上させなければ、解雇せざるを得ないとの考えを通告。07年4月の社内試験で原告が作業・検査マニュアルを依然として理解できないことが判明したため、事業所委員会(従業員の社内代表機関)の同意を得、同年12月末日付で解雇すると通知した。

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BAGの裁判官は解雇を妥当とした理由の1つとして、被告が原告に対しドイツ語取得の機会を十分に与えていたことを挙げた。

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