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2010/3/3

企業情報

SolarWorld AG―住宅用太陽電池と充電池のセット販売検討―

この記事の要約

太陽電池大手のSolarworld(ボン)が住宅用太陽電池と充電池を組み合わせて販売する新しいビジネスモデルの構築に取り組んでいる。ドイツ政府がソーラー電力の助成額削減方針を決めたことを受け、太陽電池の国内需要が急減し、 […]

太陽電池大手のSolarworld(ボン)が住宅用太陽電池と充電池を組み合わせて販売する新しいビジネスモデルの構築に取り組んでいる。ドイツ政府がソーラー電力の助成額削減方針を決めたことを受け、太陽電池の国内需要が急減し、価格も急低下する恐れが出てきたためだ。新ビジネスの実現に向けてはバッテリーメーカーと提携する意向で、現在2社と交渉している。同社のフランク・アスベック社長への取材をもとに2月25日付『ハンデルスブラット(HB)』紙が報じた。

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ドイツには住宅などに設置した太陽電池で発電した電力の購入を電力会社に義務づけるルールがある。再生可能エネルギーの利用拡大を狙った措置で、買い取り価格は従来が1キロワット時(kWh)当たり40セントで、現在も同33セントと高い。このため自宅の屋根に太陽光発電設備を設置する市民が急速に増えたが、割高な買い取り価格は電力料金を通して最終的に消費者に転嫁されるため、政府与党は買い取り価格を7月1日付で16%削減する方針を固めた。

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買い取り価格が引き下げられると太陽電池を設置する魅力が薄れるため、メーカーにとっては大きな痛手となる。Solarworldはこれを踏まえ住宅用太陽電池と充電池のセット販売を考案した。

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太陽電池を設置した世帯はこれまで、発電した電力を蓄えられないため、電力会社に全量を販売してきた。一方、充電池があればソーラー電力をいつでも自家消費できるため、同社はセット販売で新たな需要を掘り起こす考えだ。

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ただ、住宅用太陽電池に適した充電池を手ごろな価格で提供することは難しく、独ソーラー業界全国連盟(BVS)はHB紙の問い合わせに対し、「(太陽電池と充電池を組み合わせた)一般世帯向けのシステムは存在しない」と回答した。

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Solarworldは洗濯機程度の大きさの充電池を約3,000ユーロで提供する考えで、これを実現するためにバッテリーメーカーとの提携を模索している。アスベック社長は交渉先のバッテリーメーカー名を伏せているが、同紙によると、そのうちの1社は化学大手のEvonikだという。

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