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2010/3/10

経済産業情報

教育現場でのIT活用、改善の余地大きく

この記事の要約

市場調査機関TNS Infratestが生徒、保護者、教師を対象に実施したアンケート調査で、生徒のほぼ全員(98%)がコンピューターやインターネットの使い方を学校で教えてほしいと考えていることが分かった。教師の95.7% […]

市場調査機関TNS Infratestが生徒、保護者、教師を対象に実施したアンケート調査で、生徒のほぼ全員(98%)がコンピューターやインターネットの使い方を学校で教えてほしいと考えていることが分かった。教師の95.7%も「子供にPCの使い方を教えるのは学校の義務である」と回答している。一方、学校でPCを使う機会が「少なすぎる」と感じる生徒は6割、「全く使う機会がない」も2割に上るなど、理念と教育現場の現実の間に大きな隔たりがあることが浮き彫りになった。

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文部大臣会議(各州の文部大臣からなる常設機関)のまとめによると、教育用PC1台当たりの生徒数は2002/03年度の17人から2007/08年度には9人に改善した。ただ、キール大学付属自然科学教育学研究所(IPN)によると、「学校のPC設置台数と授業でのデジタルメディアの利用頻度は必ずしも比例しない」。IPNの担当者は、「何のために授業でPCを使うかのという明確なコンセプトがなければ、機器があっても意味がない」として学校側に適切な対応を求めている。

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デジタルメディアサービスを手がけるHelliwood Media & Educationのトーマス・シュミット社長は教育現場のIT化が進まない理由の一因として、教師自身がITの知識に乏しいことを挙げる。大学の教職課程でパソコンの使用がカリキュラムに組み込まれていないうえ、教員向けIT研修などの公的支援策も貧弱なため、「教師の9割はコンピューターの勉強をしたければ仕事の時間外に自腹を切ってやるしかない」という。

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ソフトウエア世界最大手のマイクロソフトは6日まで開催された情報通信技術見本市「CeBIT」で広さ150平方メートルの「デジタル教室」を設置し、教育関連のソリューションを一堂に展示したほか、実際に生徒を招いてデモ授業を行った。マイクロソフト独法人のアヒム・ベルク社長は「多くの生徒、父母、教員はコンピューター教育が必修になることを望んでいる」と述べ、CeBIT開催初日に「デジタル教室」を訪問したメルケル首相に現状改善を要請する文書を手渡した。

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