ドイツ産業界の研究開発(R&D)は南部3州のバーデン・ヴュルテンベルク(BW)、バイエルン、ヘッセンの3州が圧倒的にリードしていることが、研究開発や教育の促進団体である科学促進者連盟(Stifterverband fuer die Deutsche Wissenschaft)が18日発表した『研究開発の事実(FuE-facts)』の最新版で改めて確認された。R&Dが低調なのは東部州が多く、ドイツ統一からおよそ20年が経った現在も東西格差は埋まっていない。
\欧州連合(EU)は2000年に採択した「リスボン戦略」で、EUを2010年までに世界で最も競争力のある経済圏に成長させるとの構想を打ち出し、域内総生産(GDP)に占める研究開発費の割合を3%に引き上げる数値目標を設定した。3%の目標のうち2ポイントは産業界、残り1ポイントは公的セクターで実現するとしている。
\FuE-factsによると、ドイツの研究開発費の対GDP比率(以下R&D比率)は2007年の時点で2.54%にとどまり、2010年までに目標の3%を達成するのはほぼ不可能とみられる。産業界も1.78%と目標値(2%)との隔たりが大きい。
\産業界のR&D比率を州別でみると、2%を超えたのは上記の南部3州で、特にBW州は3.57%と公的セクターを合わせた目標値3%も大きく上回っている。一方、東部のブランデンブルク(R&D比率0.32%)とザクセン・アンハルト(同0.34%)、メクレンブルク・フォーポマーン(0.38%)の3州は同比率がBW州の10分の1程度と極めて低く、西部州のザールラント(0.44%)、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン(0.53%)とともに下位グループを形成している。
\東部で研究開発が低調なのは産業基盤がぜい弱なためで、独産業界全体のR&D投資総額(430億3,500万ユーロ)に占める東部州の割合はわずか8%にとどまった。そうしたなか首都ベルリンとハイテク産業が盛んなザクセン、チューリンゲン州では産業界のR&D比率がそれぞれ1.40%、1.34%、0.93%と比較的高い。
\西部州に目を向けると、BWとバイエルンの産業界の研究開発投資は計230億ユーロを超え、ドイツ全体の52%を占めた。ダイムラー、BMWなどの自動車メーカーを中心に自動車産業が発達していることが背景にあり、フォルクスワーゲンの地元ニーダーザクセン州でも自動車産業の突出が目立つ。一方、ヘッセン、ノルトライン・ヴェストファーレン州では化学産業(製薬を含む)が全体をけん引している。
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