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2010/3/31

経済産業情報

心の病による欠勤、20年で倍増

この記事の要約

うつ病などの精神疾患を理由に欠勤する人がドイツで増えている。全国心理療法士協会(BPtK)が公的健康保険のデータを利用して実施した調査によると、精神疾患で病欠した日数が欠勤日数に占める割合は2008年に11%弱となり、1 […]

うつ病などの精神疾患を理由に欠勤する人がドイツで増えている。全国心理療法士協会(BPtK)が公的健康保険のデータを利用して実施した調査によると、精神疾患で病欠した日数が欠勤日数に占める割合は2008年に11%弱となり、1990年から倍増した。与えられた仕事をこなすためのストレスや評価(給与や昇給)に対する不満、雇用不安などが主な原因。また、これまで見過ごされてきた症状が精神疾患だと正しく診断されるようになったことも数値を押し上げた。心の病による病欠日数は平均3~5.5週間と長く、BPtKは企業に予防策を講じるよう呼びかけている。

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業種別にみると、サービス業で精神疾患による欠勤が特に多く、顧客の苦情電話に分刻みで対応しなければならないコールセンターのオペレーターがうつ病などを理由に欠勤する日数は平均の2倍に上る。警備員や看護師、検札係でも同日数が多い。

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また、公的健保組合Techniker Krankenkasse(TK)の09年のデータによると、給与など労働条件で不利な立場にあるパート社員が精神疾患を理由に欠勤する日数は正社員に比べ43%も多かった。失業者では精神疾患の罹患率が有職者の3~4倍に上る。

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一方、農業や林業、建設業など肉体労働を主体とする業種では精神疾患にかかる割合は平均よりも3分の1~2分の1少なかった。

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精神疾患の中ではうつ病が最も多く、04年の治療費は43億ユーロ、患者1人当たりで平均4,000ユーロに上った。欠勤日数も35~50日と長く、企業側の大きな負担となっている。

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BPtKは企業ができる心の病の予防措置として、過度の仕事量を要求せず、社員一人一人が仕事のプロセスを自己管理できる環境を整えるべきとアドバイスしている。

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