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2010/3/24

ゲシェフトフューラーの豆知識

イースターの日曜日は公的な祝日にあらず

この記事の要約

毎年3月下旬から4月下旬の間に訪れるキリスト教の移動祝祭日イースター(復活祭)。ドイツではこの日をはさむ形で必ず4連休となる。連休の順番は聖金曜日、通常の土曜日、イースター、イースターの月曜日である。\ ところで、この4 […]

毎年3月下旬から4月下旬の間に訪れるキリスト教の移動祝祭日イースター(復活祭)。ドイツではこの日をはさむ形で必ず4連休となる。連休の順番は聖金曜日、通常の土曜日、イースター、イースターの月曜日である。

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ところで、この4日間のうちどの日が祝日に当たるかを読者はご存じだろうか。実は正解は2つあり、キリスト教では土曜日を除く計3日、ドイツの法律では聖金曜日とイースターの月曜日の計2日が祝日となっているのである。

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こうした問題は瑣末にみえるのだが、労使の権利義務が絡んでくると、ときに高度な法律上の問題に発展するようだ。雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)はイースター(日)の特別手当をめぐる労使の係争で17日、興味深い判決(訴訟番号:5 AZR 317/09)を下した。

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裁判を起こされたのはニーダーザクセン/ブレーメン地区にあるパン・焼き菓子メーカー。BAGのプレスリリースによると、同社の経営者は長年、イースター(日)の祝日手当として日給の175%に相当する額を支給してきた。業界の労使協定で祝日手当が日給の175%と定められているためだ。

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この経営者は2007年になってイースター(日)が法律上は通常の日曜日に過ぎないことを知った。このため同年からイースターの手当てを日曜手当に変更。業界の労使協定に基づき日給の75%相当額に引き下げた。

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同社の従業員がこれを不服として祝日手当の支給を要求したため、裁判となった。「イースターはキリスト教世界の祝日である」というのが原告社員の主張で、第1、第2審判決ではこれが全面的に認められていた。

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これに対し連邦労裁は「イースターは法定の祝日ではない」と指摘し、日曜手当への変更は妥当だとの判断を示した。また、手当を3年以上支給した場合、受給者にはその後も同じ額の手当てを受け取る既得権が発生するとの指摘に対しても、被告は事実誤認に基づいて祝日手当を支給してきたに過ぎないとして、この場合は既得権が発生しないとの見解を示した。

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