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2010/5/12

経済産業情報

公開型不動産ファンドで新たに償還停止

この記事の要約

公開型不動産ファンドで新たに2本が償還停止になった。KanAM(ミュンヘン)は6日、「KanAM grundinvest」の償還の一時停止を決定。その数時間後にはSEB Asset Managementの「ImmoInv […]

公開型不動産ファンドで新たに2本が償還停止になった。KanAM(ミュンヘン)は6日、「KanAM grundinvest」の償還の一時停止を決定。その数時間後にはSEB Asset Managementの「ImmoInvest」も追随した。両ファンドは2008年にも償還停止しており、凍結はこれで2回目。凍結状態にある公開型不動産ファンドはこれで8本に拡大した(グラフ参照)。

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両ファンドが08年に償還停止となったのは、世界的な金融市場の混乱を受け資金繰りに困ったファンド・オブ・ファンズやアセットマネジメントなどの投資機関が解約に走ったため。不動産ファンド顧客全体の保護とともに、運用資金の流出防止によりファンド自身の生き残りを図ることが狙いだった。

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一方、今回の償還停止は事情がまったく異なる。直接の引き金となったのは連邦財務省が3日発表した公開型不動産ファンド規制法案だ。同法案は、公開型不動産ファンドに対し数カ月の解約予告期間を設けることと、運営する不動産の資産価値を「鑑定評価額から一律10%差し引いた額とする」ことを骨子としている。解約しづらくすることで大量の資金流出を防ぐのが狙いだが、これにより「いつでも売却・解約できる」という同ファンドの特性が失われるうえ、配当金も実質的に1割目減りすることになる。このため、新規制による損失を恐れた顧客が財務省の発表と同時に解約に殺到。KanAMとSEBは償還停止で資金流出を防がざるを得なくなったという。

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