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2010/6/9

経済産業情報

インド企業の欧州進出進む、ユーロ安でM&A加速の可能性も

この記事の要約

インド企業の欧米進出が活発化している。進出が目立つのは情報技術(IT)、化学、製薬、自動車、資源、繊維などの業界で、豊富な流動資産と英米留学で経営ノウハウを学んだトップが多いことを背景に、企業買収・合併(M&A […]

インド企業の欧米進出が活発化している。進出が目立つのは情報技術(IT)、化学、製薬、自動車、資源、繊維などの業界で、豊富な流動資産と英米留学で経営ノウハウを学んだトップが多いことを背景に、企業買収・合併(M&A)の形をとることが多い。最近のユーロ安で買収が行いやすくなっていることはこの流れに拍車をかけそうだ。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が1日付で報じた。

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インドに本社を置く企業による欧州企業買収で最大のものは、鉄鋼大手Tata Steelによる英同業Corusの買収(2007年)だ。買収額は122億米ドルと、アルミ圧延大手Hindalcoによる米同業Novelisの買収(07年)、Oil & Natural Gas(ONGC)による英Imperial Energy買収(08年)の取引額をはるかに上回る(下のグラフを参照)。印商工会議所連盟(FICCI)によると、インド企業による08年の国外投資は330億ドル。09年には金融・経済危機の影響で大きく落ち込んだものの、130億ユーロに上っている。

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印企業の欧米進出先としては、言葉のハンデが少ない英語圏(英・米)が多いが、高い技術力を持つ独企業も人気が高く、エネルギー大手Suzlon Energyは07年、風力発電設備メーカーRepower(ハンブルク)を買収した。繊維染料大手KDCLも09年、倒産した同業Dystar(フランクフルト)を買収することで合意。印富豪のミタル家は同年、高級婦人服大手Escada(ミュンヘン)を傘下に収めた。

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一方、資金や技術力の問題から欧米進出が難しい企業は、技術的に立ち遅れている周辺の途上国や新興国、アフリカ諸国にまず進出し、現地市場で売り上げと顧客を確保してから先進国進出のチャンスをうかがうというパターンが多いという。

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