高級民生家電メーカーLoewe(クローナハ)のフリードリヒ・レーラー社長は7月29日の第2四半期決算発表で、即日付で辞任すると発表した。サッカー・ワールドカップ(W杯)商戦が期待外れに終わったことを受け責任を取った格好。後任にはオリバー・ザイトル財務担当取締役が就任した。
\Loeweの2010年4-6月期の営業損益(EBITベース)は490万ユーロの赤字で、前年同期の黒字(70万ユーロ)から悪化した。W杯に合わせて新製品を投入できなかったことが最大の原因で、テレビ需要が急増したにも関わらず、同社の売上高は前年同期比4%増の7,400万ユーロと伸び悩んだ。これに製品価格の引き下げと調達コストの上昇が追い打ちをかけた格好だ。経営陣は2010年通期決算も赤字になる可能性があるとしている。
\業績不振の背景には高価格路線の維持が難しくなっていることがある。W杯商戦ではパナソニック、ソニー、Samsungなど世界的な大手が3Dテレビを発売し注目を浴びたのに対し、Loeweは市場が成熟するまで待機する方針を提示。製品の平均価格が2,500ユーロと高いにもかかわらず最新技術で後れを取っていることは販売不振と収益悪化につながったようだ。
\同社は収益力の改善に向け、事業のあり方を根本的に改める方針を打ち出した。製造コストを引き下げるため、調達先を絞り込むほか、部品の共通化も推進。調達先は特にアジアを重視する。また、市場のニーズにいち早く対応するため、製品開発、マーケティング、販売のあり方を見直していく。
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