雇用などでの差別を禁止する一般平等待遇法(AGG)が施行されてから4年が経ち、同法をめぐる裁判の判例が増えてきたようだ。雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)はAGG関連の判決を19日に3件も下した。今回はこのうち、求人に関する裁判(訴訟番号:を取り上げる。
\裁判は法律専門誌の出版社が2007年に行った法務部職員の求人に応募した1958年生まれの男性が起こしたもの。求人広告には「若くてやる気のある法曹(法律家)を求む」と書かれていた。
\このときに採用されたのは33歳の女性法律家で、原告男性は書類選考で振り落とされた。これを受け同男性はAGGで禁止された年齢差別に当たるとして出版社を提訴。慰謝料2万5,000ユーロのほか、採用されれば得ていたであろう年収の支払いを要求し提訴した。
\第1審は年齢差別を認定、被告に月収相当の慰謝料支払いを命じた。ただ、それ以外の原告の要求については正当な理由がないとして棄却した。
\この判決に対し原告と被告はともに控訴したものの、第2審のミュンヘン州労働裁判所は第1審判決を支持。最終審の連邦労裁も同様の判断を示した。連邦労裁の裁判官は判決理由で、被告企業の求人広告は採用の際の差別を禁止したAGG11条の規定に違反すると指摘。年齢の高さを理由に原告を不採用としたことを間接的に示していると断定した。
\求人広告に「若い人を求む」と明記すればAGGに抵触することは同法の施行前から指摘されていた。被告企業は法律専門の出版社なのだから、こうした初歩的なミスは犯してほしくなかったと思う。
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