独金属労組IGメタルは8月27日、9月6日に始まる鉄鋼業界の次期労使交渉で6%の大幅ベースアップを要求することを明らかにした。景気の急速な回復を受け、雇用維持を最優先し賃上げを控えるこれまでの路線から決別するもので、今後、他業界への波及が予想される。
\IGメタルのオリバー・ブルクハルト交渉団長は記者会見で「景気回復の恩恵はすべての被用者が享受しなければならない」と述べ、大幅ベア要求の正当性を強調した。これにはメルケル首相も理解を示しており、労組には追い風となりそうだ。
\一方、金属雇用者団体ゲザムトメタルは「景気回復の足元はなお不安定だ」(カンネギーサー会長)として受け入れ拒否の意向を示しており、労使交渉は難航が予想される。
\鉄鋼業界の後は州職員、小売、化学、建設産業などでも労使交渉が行われる予定。このため鉄鋼業界で大幅ベアが実現すると、他業界でも労組の要求が高まり、人件費が広範囲で上昇する可能性がある。
\IGメタルは今回の交渉で、派遣社員の賃金を正社員と同等にすることも要求する。業界就労者数は現在約10万人強で、派遣社員はそのうちの3,000人を占める。
\