国際化やモバイル化、デジタル化を受けてドイツの社会は複雑、不均衡になり、各市民を取り巻く社会環境も多様化している――。ドイツの社会環境を30年来調査している市場調査機関Sinus研究所はこのほど発表した調査の中でこう結論づけた。
\同研究所は今回、2008年から実施した3,000件のインタビューを定性分析、3万件のインタビューを定量分析し、2010年度版の報告書をまとめた。経済的な社会層と個人の価値観を基に抽出される個々のドイツ人が属する社会環境は前回発行の2001年版と同じ10タイプだったものの、旧東独(DDR)にノスタルジーを抱く社会環境はほぼ消滅。代わりに「探求型」と呼ばれる新たなタイプが加わった。同タイプには「常識にとらわれない、創造的、個人主義、移動性が非常に高い(モバイル)、デジタル」といった特徴があり、常に新たな限界を求める傾向がある。経済的に恵まれた好奇心のある若者がこの環境に属する場合が多い。
\一方、個人主義の進展や成果・効率が重視される傾向が強まったことで、不満や不安も増大。特に秩序や安定、調和を好む中流市民層では下流に転落する不安が増加したという。
\Sinusの調査結果は企業のマーケティング戦略などに利用され、製品開発や広告に反映される。また、政党や労組、教会も党員、組合員、信者を獲得するために同調査を参考にする。
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