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2010/10/6

経済産業情報

KanAmが公開型不動産ファンドを清算、国内初 他に波及の可能性も

この記事の要約

ファンド運用会社KanAm(ミュンヘン)は9月30日、公開型不動産ファンド「KanAm US-grundinvest」(運用資金5億4,000万米ドル)を清算し、投資家に資金を返還すると発表した。公開型不動産ファンドが清 […]

ファンド運用会社KanAm(ミュンヘン)は9月30日、公開型不動産ファンド「KanAm US-grundinvest」(運用資金5億4,000万米ドル)を清算し、投資家に資金を返還すると発表した。公開型不動産ファンドが清算されるのはドイツでは今回が初めて。アナリストの間には清算に踏み切る公開不動産ファンドが今後、増えるとの見方もある。

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US-grundinvestはドル建てで米国の不動産に投資する公開型不動産ファンド。世界的な金融市場の混乱を背景に2008年10年以来、償還停止が続いていた。同ファンドは10月末に凍結期限切れが迫っており、KanAmは「凍結を解除すれば3億ドル以上の運用資金が流出し、ファンドの運用自体が不可能になる」と判断。顧客の大多数からの要望もあり清算に踏み切った。

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KanAmはUS-grundinvestで投資対象になっていた17の物件のうち10件の売却を完了。1件は年内の売却で仮契約が結ばれているほか、残る6件も長期契約によって満室が確定している優良物件で、社債や銀行などによる負債は一切ないという。年内にまず2億5,000万ドルを返還するとしている。

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今月末にはMorgan Stanleyの「P2 Value」とAberdeenの「Degi Europe」が凍結期限切れを迎える。両ファンドの先行きはこれまでのところ不明だが、期限切れ後はDeka Immobilien、Union Investment Real Estate、Commerz Real Investmentなどの大手に資金が流れる可能性が高いと市場関係者はみている。

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