欧州経済センター(ZEW、マンハイム)が12日公表した高齢社員活用に関する全国調査レポートで、高齢社員と若手社員がチームを組んで仕事をすることで生産性が飛躍的に向上することが明らかになった。また、体力の衰えに合わせたオフィス設計、経験が活かせる業務の担当も生産性向上に貢献する。一方、技能研修や高齢者パートタイム制は生産性引き上げの面で効果が確認できないという。
\ZEWは連邦雇用庁(BA)傘下の労働市場・職業研究所(IAB)が1997~2005年にかけて収集した8,500事業所の計700万人の被用者データを元に、高齢社員と生産性の関連や、生産性向上に結び付く雇用対策について調査・分析した。
\この結果、高齢社員と若手が一緒に仕事をする職場では、特定の年齢層に偏っている職場に比べ生産性が明らかに高かった。これは、高齢社員が若手から新鮮な刺激を得られるとともに、若手はベテランから経験を学べるという相乗効果によるところが大きい。また、◇視力低下に配慮した明るいオフィス照明やコントラスト比が高く見やすいモニターの導入◇長年の経験やノウハウが必要な一方で肉体的な負担が少ない業務を担当――も効果を発揮する。
\今回の調査では、「高齢社員は若手に比べて生産性で劣る」とは一概に言えないことが明らかになった。ただ、多くの事業所で少子高齢化による社員の平均年齢上昇によって生産性が低下していることも浮き彫りになっており、ZEWの担当者は「企業が生き残るためには高齢社員対策を講じる必要がある」と指摘した。
\異動や組織改編などに伴う社員研修は、若手社員に有効な一方、高齢社員にはほとんど効果がなかった。これについてZEWは「研修後も担当業務が変わらないなど、学習が仕事に活かされないケースが往々にして見受けられる」と問題点を明らかにした。また、高齢者パートタイム制も「肉体的な衰えに配慮した就労形態」ではなく「実質的な早期退職」という否定的なイメージでとらえている人が多いことが一因ではないかと分析している。
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