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2010/11/3

経済産業情報

世界最大のバイオマス炭化プラント稼働

この記事の要約

バイオマス炭化装置の製造・設置・運営を手がけるスイスのAVA-CO2(本社:ツーク)は10月26日、独カールスルーエでバイオマス炭化処理プラントの稼働を開始した。処理能力は年8,400トンで、世界最大規模という。日刊紙『 […]

バイオマス炭化装置の製造・設置・運営を手がけるスイスのAVA-CO2(本社:ツーク)は10月26日、独カールスルーエでバイオマス炭化処理プラントの稼働を開始した。処理能力は年8,400トンで、世界最大規模という。日刊紙『ヴェルト』が報じた。

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炭化(Carbonization)は、酸素を遮断した状態で有機物質が加熱されることで炭素分に富んだ物質に変化すること。太古の植物が腐敗分解する前に地中に埋もれ、長い時間地熱や地圧を受けて変質した石炭も、炭化による生成物といえる。この石炭を短時間で生成する「人工石炭化」に道を開いたのはドイツの化学者フリードリヒ・ベルギウスで、1913年にバイオマスの炭化実験を行い、炭化技術の基礎を築いた。

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AVA-CO2が開発した炭化処理システムでは、バイオマスを高圧下で加熱(220度)して分解する。生成されたバイオ炭「AVA Bluecoal」の低位発熱量(LHV)は25メガジュール/kg、炭素濃度は70%、粒子の大きさは300マイクロメートル以下となっている。

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バイオマスを炭化することの利点は変換効率の高さにある。バイオマスからバイオエタノールを生産する場合の炭素収率(原料中の炭素量と炭化物中の炭素量の比率)は約10%、バイオガスの場合でも50%程度にとどまる一方、炭化の場合はほぼ100%を実現できる。また、従来の技術ではバイオ燃料にできず廃棄されてきた植物を利用できるメリットもある。さらに、炭化プロセスでは原料自身が反応の過程で発熱するようになるため、プロセス全体を通して外部から熱を加える必要がないのも特徴だ。

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