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2010/11/3

経済産業情報

公開型不動産ファンド、清算3本に

この記事の要約

公開型不動産ファンドで新たに2本の清算が決まった。Aberdeenが10月22日、「Degi Europe」(運用資金13億ユーロ)の清算を決定したのに続き、Morgan Stanleyも26日、「P2 Value」(8 […]

公開型不動産ファンドで新たに2本の清算が決まった。Aberdeenが10月22日、「Degi Europe」(運用資金13億ユーロ)の清算を決定したのに続き、Morgan Stanleyも26日、「P2 Value」(8億5,200万ユーロ)の清算を発表。9月末のKanAmの「US-Grundinvest」に続き、ドイツ国内で清算される公開型不動産ファンドはこれで3本に拡大した。

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今回清算となった2本のファンドは、世界的な金融市場の混乱を背景に2008年10月から償還停止が続いていた。いずれも10月30日に凍結期限が迫っていたが、凍結を解除すれば運用資金が流出し運用自体が不可能になる恐れがあったため、両ファンド会社は清算に踏み切った。Aberdeenの関係者によると、Degi Europe解約希望者の出資額は運用資金全体の3割以上に上っていたという。

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両ファンドはいずれも大幅な元本割れとなっており、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、P2 Valueの9月30日の利回りは1年物でマイナス37.62%、清算発表当日のハンブルク・ファンド取引市場での取引価格は純資産価値に基づく価格(27.54ユーロ)より30%も低い18.51ユーロだった。両ファンドは今後3年以内に投資対象の不動産を売却しなければならない。売りを急げば価格が下落する可能性もあるため、慎重な対応を迫られそうだ。

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現在凍結中のファンドで次に償還期限を迎えるのは1年先。このため市場関係者は清算の動きがさらに広がる可能性は当面ないとみている。

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