国際畜産見本市(EuroTier)が16~19日の4日間、ハノーバーで開催された。今回の出展者数は前回(08年)を8%上回る1,967社、来場者数は14万人となり、ともに過去最高を記録。農業機械メーカーと酪農家の関心の高さがうかがわれた。
\今回の見本市では、スウェーデンの搾乳システムメーカーDeLavalが世界初の全自動搾乳ロータリーシステム「AMR」を発表した。ロータリー式のベルトコンベヤーに牛が乗ると乳頭の洗浄・消毒、ミルカーの取り付け、搾乳から搾乳後の洗浄・消毒までを全て自動で行う。コンベヤーへの牛の誘導から搾乳後の退出も全て自動制御され、『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙によると、1時間当たり90頭の搾乳ができる。人手を全く必要としないため24時間連続稼働も可能だ。
\独Siliconformは搾乳作業者の負担に配慮した搾乳システム「Galactor -Das Melktaxi」を披露した。搾乳作業者はエルゴノミクス(人間工学)に基づいてデザインされた電動式作業椅子に腰かけたまま、時速35キロメートルで牛舎内を移動・作業できる。搾乳システムはほぼ自動化されているが、ミルカーの取り付けは人間が行う。同社のヤーコプ・マイヤー社長はFAZ紙に対し「人間は牛舎の匂いで牛の健康状態がすぐにわかるが、機械にはできない。人間が1人も牛舎にいないという環境は動物にやさしい環境とは言えない」として、あえて完全自動システムは開発していないと語った。
\酪農設備メーカーがシステムの自動化や搾乳作業の効率改善に力を入れる背景には、乳価の下落や農家の後継者難、牛乳生産を割り当てる欧州連合(EU)ルールの2015年撤廃を踏まえて、酪農家が大規模化・効率改善によって生き残りを図っていることがある。DeLavalの関係者は「ドイツで自動搾乳システムを導入している酪農家は全体の3%に過ぎない」と述べ、今後の市場開拓に意欲を示した。
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