深刻な経営危機に陥った銀行に救済資金を提供する基金の設立や金融機関の清算手続きを定めた金融再建法案が11月26日、州の代表で構成される連邦参議院(上院)で承認された。同法案はすで連邦議会(下院)で可決されており、来年1月1日付で施行される。
\巨大な銀行が倒産すると金融システムが根幹から揺らぐ。このため2008年秋に深刻化した金融危機の影響で不動産金融大手のヒポ・リアル・エステート(HRE)が経営破たんの瀬戸際に追い込まれた際、国は税金を投入して直接救済に乗り出すことを余儀なくされた。
\今回の法案はこの反省を踏まえて作成されたもので、危機に陥った金融機関への支援を金融機関が積み立てる基金を通して実行。銀行の経営責任の付けを国や納税者が引き受けるという不条理を回避する。同基金は金融危機対策で導入された銀行支援制度に取って代わる予定だ。
\基金の規模は長期的に700億ユーロを計画している。各年の積立額は景気変動を踏まえ最大が13億ユーロ、最低が6億ユーロ。各銀行の負担額は事業のリスク度が高いほど大きくなる。主に民間銀行が負担することになるが、貯蓄銀行と信用組合も一部を引き受ける。
\経営が悪化した銀行に対しては連邦金融監督庁(BaFin)がまず自力再建を要求する。再建が成功しない場合はBaFinが命令ないし出資者・債権者の同意のうえで当該銀行を金融システム上重要な部分と重要でない部分に分割。再建対象を前者に絞り、後者は清算する。
\同法案にはこのほか、公的支援を受けた銀行の役員・行員ボーナスを最大50万ユーロに制限することも盛り込まれている。これまでは行員ボーナスが規制対象となっていなかったが、国の支援を受けた銀行の職員が巨額のボーナスを請求・獲得したことを受け、規制対象が拡大された。
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