ドイツの警察官は最近、やたらと忙しい。シュツットガルト中央駅のデモがようやくひと段落ついたと思いきや、次は核燃料輸送に抗議する市民の活動が起こり、現在はイスラムテロに日々、神経をとがらせているのだ。フランクフルト中央駅でサブマシンガンを物々しく抱えたいかつい顔の警官とすれ違うと、「ちょっと怖いな」と思う同時に、「大変だな」という同情も湧いてくる。警察労組によると、人手不足が深刻でゆっくり休養を取る暇もないらしい。
\そんな貴重な労力を無駄に費やさせる出来事が11月27日にドイツ東部のハルバーシュタット市で起きた。極右の集会とデモが行われるということで、地元ザクセン・アンハルト州の各地から警官400人が集まったところ、現場には極右とおぼしき人物が1人もいなかったのである。
\「おかしい」ということで、主催者であるドイツ国家民主党(NPD)の地元幹部に電話で問い合わせると「昨日の夜にデモの中止を警察にファックスで連絡したはずだ」との回答。
\警察が調べてみると、ファックスは確かにデモ前日の18時過ぎに届いていた。ただ、所轄部署である集会課の勤務時間はすでに終了しており、情報はそこで足止めとなってしまった格好だ。
\「連絡がつかなかったのであれば仕方がない」と一般人は思うだろう。だが、警察はそうは判断しなかった。「NPDは警察の勤務時間の終了後を狙ってデモ中止の連絡を入れた」疑いがあるとみて捜査を開始。その事実が確認された場合は、警官の動員費用を請求するとしている。
\NPDとのこれまでの「長い付き合い」から悪意の可能性を感じ取ったのか、それとも、ただでさえ忙しい警察に無駄な仕事をさせたことに腹を立てたのか、、、。いずれにしても「お疲れ様です」と頭が下がる。
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