エネルギー大手EnBW(カールスルーエ)がケニアでエコ発電事業を実施することを検討している。同社の広報担当者が経済紙『ハンデルスブラット』に明らかにしたところによると、主に風力発電事業を視野に入れており、すでに関係機関と協議を開始した。
\ケニアはここ数年で急速に経済発展を遂げ、人口増加と産業の発達を背景に電力需要が拡大している。一方、発電所や送電網など電力インフラは老朽化が進んでおり、需要を賄いきれていない。『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙によると、停電のたびに効率の悪い非常用ディーゼル発電機が使用されているという。
\こうした事情を背景に、太陽光や地熱などの再生可能エネルギーを利用したクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトの新たな候補地として目を向けられている。ドイツ復興金融公庫(KfW)傘下のKfW開発銀行は先ごろ、同国にあるオルカニア地熱発電所の拡張向けに6,900万ユーロの融資を決定した。
\EnBWは原子力発電の比率が高くCO2の排出量が比較的少ないことから、石炭火力発電に多くを依存するRWEやバッテンフォールなどの競合に比べ、CDMプロジェクトを通した排出権クレジットの取得に大きな関心を示してこなかった。FAZによると、同社はこれまでペルーの水力発電やタイのバイオガスなどでCDMプロジェクトを実施したが、いずれもプロジェクトとしての規模は小さい。
\ケニアは発電の60%を水力、15%を地熱、25%をディーゼル発電機に頼っており、風力発電は行われていない。EnBWがケニアの風力発電プロジェクトに着手すれば、同社初の大型CDMプロジェクトとなる可能性が高い。
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