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2010/12/15

経済産業情報

交配による新品種は「特許の対象外」、欧州特許庁が原則判断を提示

この記事の要約

新品種のブロッコリーとトマトの特許に対する異議申し立て審理をめぐり、欧州特許庁(EPA)の拡大審判部(Enlarged Board of Appeal)は9日、特定の遺伝子を持つ個体を選び出し交配させるという作出法は本質 […]

新品種のブロッコリーとトマトの特許に対する異議申し立て審理をめぐり、欧州特許庁(EPA)の拡大審判部(Enlarged Board of Appeal)は9日、特定の遺伝子を持つ個体を選び出し交配させるという作出法は本質的に「生物学的な手法」であり、原則としてEU特許の対象にならないとの判断を示した。分析・解析などの技術的な手法がプロセス中に含まれていても、それが交配に付帯するサブプロセスして使われる限り、特許の対象外になるとしている。

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EPAの今回の判断の発端となったのは、英Planet Bioscienceが保有するブロッコリーの特許とイスラエル農林省が取得したトマトの特許だ。

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Planet Bioscienceは、遺伝子マーキングを用いて特定の遺伝子を持つ個体を選び出し交配させるという作出法によって、抗酸化作用のあるスルフォラファン(Sulforaphane)という物質の含有量が従来品種の百倍(同社比)に達する新品種のブロッコリー開発に成功。2002年に欧州特許を取得した(欧州特許番号:EP 1069819)。また、イスラエル農業省は2000年、水分含有量が少ないトマトの作出法、種子およびその播種によって収穫された作物を対象とする特許を取得した(EP 1211926)。ブロッコリー特許に対してはスイスのシンジェンタが03年に、トマト特許に対しては蘭ユニリーバがそれぞれ異議を申し立てており、EPAは今年7月に当事者を出頭させて口頭弁論を開催していた。審判は現在も継続中だ。

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EPAは今回の判断を原則的なものとしており、具体的な事例については個々に審理を行う必要があるとの立場を示した。

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