化石燃料や原子力に代わる自然エネルギーとして、波の上下運動を利用した波力発電への関心が高まっている。独エネルギー大手エーオンは昨年11月、英オークニー諸島沖でアテニュエーターと呼ばれるタイプの発電装置2基の試験運転を開始した。Vattenfallも2014年から、シェットランド諸島沖で同装置を最大26基、試験稼働する計画だ。
\エーオンが試験運転を開始したのは、英Pelamis Wave Power社が開発したアテニュエーター型発電装置「Pelamis P2」。アテニュエーター型とは、構造物の長手方向を波の方向に平行になるように配置して、波エネルギーを吸収するようにしたもの。Pelamis P2は円筒形の浮体5台を連結しており、全長180メートル、1基当たり発電能力は750キロワットに上る。
\波力発電技術の開発は端緒についたばかり。アテニュエーター型以外にもポイント・アブソーバー式、振動水柱型(OWC)、振動式波動変換型(OWSC)、超波型など、様々な方式が考案されており、メーカーや電力会社、研究機関はより効率の高い発電方式を模索している。
\波力発電は◇自然エネルギーを利用するため資源枯渇の心配がない◇CO2を排出しない◇波の状況は風より予測しやすいため、発電量を見積もれる――といったメリットがある一方で、コストの高さが難点として挙げられている。高価な試験用装置を使用していることもあり、現時点でのキロワット時当たり発電コストはオフショア風力発電の2倍以上と高く、政府などからの資金援助がなければ「プロジェクトの実施さえ不可能」と関係者は話す。Frost & Sullivanの関係者は商業化のめどが立つまでにあと5~10年は必要と予測している。
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