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2011/1/26

経済産業情報

ライン川タンカー事故で物流に支障、BASFは生産調整へ

この記事の要約

ライン川のローレライ近辺で13日に起きた化学タンカー事故が物流に影響をもたらしている。化学大手のBASFでは原料の調達に支障が出、一部の製品で減産を実施中だ。同社への取材などをもとに各種メディアが20日付で報じた。\ B […]

ライン川のローレライ近辺で13日に起きた化学タンカー事故が物流に影響をもたらしている。化学大手のBASFでは原料の調達に支障が出、一部の製品で減産を実施中だ。同社への取材などをもとに各種メディアが20日付で報じた。

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BASFのルートヴィヒスハーフェン本社工場では事故を受けて、河川輸送を鉄道やトラックに振り替えている。だが代替輸送には限界があり、一部の原料で在庫が減少。稼働率の引き下げを余儀なくされている。顧客企業に対しては納品が遅れることをすでに通知済みという。主要な原料については十分な在庫を確保している。

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事故を起こしたタンカーは全長が110メートル。現在は水流の圧力で移動しないよう浮橋で固定されている。除去に必要なサルベージクレーン船は現場に到着しており、上流への通航はすでに再開された。下流への通航も数日以内に始まる見通しだ。

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通行止めで待機する船舶は現在300隻に上る。足止めに伴い失われる船舶の売上高は1日当たり平均4,000ユーロに上るとの指摘もあり、被害は大きい。

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『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、ライン川はドイツの河川輸送の80%を担う大動脈で、下流のアムステルダム、ロッテルダム、アントワープ港からは鉱石や石炭、石油、消費財などが運ばれ、ドイツから下流に向かっては化学製品や農産物、鉄鋼製品などが輸送される。事故現場付近では船舶が1日当たり最大150隻、通航する。

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独河川輸送業界には約1,000の企業があり、保有船舶数は計2,200隻に上る。就労者数は7,500人、売上高は17億ユーロ。積載能力3,000トンの平均的な新型船はトラック100台分の輸送能力を持つという。

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