ドイツで今年から導入された航空税はこれまでのところ運賃にほとんど転嫁されていないようだ。格安航空券の価格比較サイトbilligflieger.deによると、昨年予約し今年初めにドイツ国内の空港から出発した国際便の平均価格は、ほとんどの区間で航空税と需要を加味した事前の予想価格を下回った。航空会社間の競争が激しく、税分の上昇分を料金に上乗せできない事情が背景にある。24日付『ヴェルト』紙が報じた。
\1日に導入された航空税は、ドイツ国内の空港から出発するすべての旅客便に課せられるもので、飛行距離に応じて旅客1人当たり8ユーロ、25ユーロ、45ユーロの3段階に分けられている。渡航先の国境近くの空港に乗客の需要が集中するのを避けるため、国際便については当該国の最大の空港までの距離が基準となる。例えば、ドイツからロシアに行く場合、ベルリン~サンクトペテルブルク便でも、ミュンヘン~ハバロフスク便でもフランクフルト~モスクワ便と同じ税額となる。また、出発地から最終目的地までが課税の対象となるため、近隣諸国の空港を経由しても直行便と税額は変わらない。
\Billigflieger.deがドイツ人の主なバカンス旅行先を対象に実施した調査によると、航空券の平均価格(年初時点)が航空税上乗せ後の予想価格を上回ったのはデュッセルドルフ~パルマ・デ・マリョルカ(スペイン)便のみで、他は軒並み下回った(表参照)。なかにはフランクフルト~ニューヨーク便のように航空税を差し引いた額よりも安い区間もあり、航空会社が税金を料金にほとんど転嫁できていないことがわかる。
\航空会社の対応は様々だ。格安航空Ryanairは、「割安感がなくなる」としてドイツ発着数を大幅に縮小。Easyjetは税分の一部を料金に転嫁した。Germanwingsは税分を料金に転嫁する一方、蘭マーストリヒト空港からの出発便を開設し、値上げを嫌う顧客に対応している。
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