独立系コールセンター・ITサービスで独最大手のWalter Services(エトリンゲン)が倒産の瀬戸際に立たされている。金融・経済危機で顧客からの業務委託が激減したほか、電話広告規制強化を受けて事業の幅が狭められたことなどで収益が悪化。負債総額は1億7,000万ユーロにまで膨れ上がった。債権銀行と出資者は債務問題で対立を深めている。一方、Walterのコーグラー社長は「業績は回復している」として破たん回避に希望をみせる。1月28日付『ハンデルスブラット』(HB)が報じた。
\Walterは1978年の設立で、欧州5カ国の計21カ所に拠点を持つ。HBによると従業員数は6,028人。カスタマーセンターサービスのほかITサービス、コンサルティングも手がける。顧客はドイツテレコム、スイスコム(電気通信)、アストラゼネカ、バイエル(製薬)、Tchibo、Neckermann(小売)など200社を抱える。
\同社の元親会社である蘭金融投資会社Gilde Buy Out Partnersは2008年夏、保有するWalter資本の大半をプライベート・エクイティ会社のOdewald & CompagnieとCapitonおよびWalter経営陣に売却した。取引の詳細は明らかにされていないものの、取引規模は3億3,000万ユーロに上ったとされる。
\しかし、この直後に襲ったリーマンショックによる市場の急速な冷え込みでWalterの業務受注は急減。09年売上高は前年比13.3%減の1億9,700万ユーロ、営業利益は同49%減の1,620万ユーロに後退し、債務返済が困難となった。需要低迷のなかで顧客を獲得するため無理な値下げを実施したことも経営を圧迫した。
\業績悪化は不景気だけが原因ではない。企業ホットラインに電話するかわりにインターネットやメールで検索・照会する消費者が増えたことや、これまで業務を委託していた企業が再び自社での運営に戻すなど、コールセンター業界をめぐる環境が変化していることも響いた。
\債権銀行側はOdewaldなどに対し経営権を引き渡すよう求めている。出資側はこれを拒否しており、今のところ解決の糸口は見えていない。
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