欧州中央銀行(ECB)は3日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年1.0%に据え置くことを決めた。金利据え置きは21カ月連続。物価は急上昇しているが、トリシェ総裁は現行金利水準を「適切」とし、当面は利上げを控えて様子を見守る姿勢を示した。
\ユーロ圏では原油高、食料価格の上昇によりインフレ率が急上昇しており、1月は前年同月比2.4%と27カ月ぶりの高水準に達した。生産者物価も跳ね上がっている。
\それでもユーロ圏ではギリシャ、アイルランド、ポルトガルなどの信用不安問題がくすぶり、景気の先行きは不透明なことから、今回の金利据え置きは予想通りだった。
\意外と受け止められているのは、トリシェ総裁の理事会後の発言。同総裁は前月、「短期的なインフレ圧力がある」としたうえで、ECBが米サブプライムローン問題を受けて金融市場が混乱していた2008年7月にインフレ抑制を優先して利上げに踏み切ったことに言及し、「金利を動かさない保証はない」と述べ、必要に応じて利上げを実施する構えを強調した。その後に物価上昇が進んだことから、市場ではトリシェ総裁がインフレ警戒を強め、より明確なトーンで利上げを示唆するとみていた。
\しかし、トリシェ総裁はインフレ動向について、前月と同じ表現で「注意深く見守る」と述べるにとどまり、利上げに関しては一切言及しなかった。さらに、ユーロ圏のインフレ率は「年内の大部分は」ECBが上限目標値とする2%を上回る水準で推移するとしながらも、「中長期的にはインフレ圧力は抑えられるだろう」と述べた。
\市場では総裁の発言が予想より“タカ派”的でなかったことから、利上げ観測が遠のいた格好となっている。これを受けてユーロは同日、ドルなど主要通貨に対して下落した。
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