原油高による樹脂価格高騰のあおりを受けて、欧州で使用済みPETボトル(廃PET)の需給がひっ迫している。産業市場調査会社Schlegel und Partnerによると、欧州の廃PET取引価格は過去1年で5倍に上昇。大型案件では入札による争奪戦が繰り広げられることもあるという。廃PETリサイクル業者は原料調達が困難になったと悲鳴を上げる。5月24日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が報じた。
\ポリエステル不織布の世界最大手メーカーである伊Freudenberg Politex(独複合企業Freudenbergの子会社)の関係者は「工場の稼働を維持し顧客の注文に応じるためにはどんな高値でも原料を仕入れざるを得ない」と嘆く。
\廃PETを洗浄・粉砕して繊維メーカーなどに販売する中小のリサイクル業者の状況はさらに深刻だ。廃PET価格の高騰が続く一方で、合成樹脂の価格は過去数カ月間で下落し、価格差が縮まっているためだ。FAZ紙によると、廃PETの損益分岐点はドイツで新品PET価格の80%未満とされるが、価格差が縮まれば業者は収益を確保できず倒産に追い込まれる恐れもある。
\廃PET需給ひっ迫の原因は多岐にわたる。綿花価格の高騰でアジアの衣料品メーカーが化繊の使用率を高めていることや、中国に輸出される廃PETが増えていることが大きい。独再生資源業全国連合会は、ドイツで回収された廃PETの3割は中国に輸出されていると試算する。
\供給不足を打開するため、廃PETの回収率を引き上げようとする動きが高まっている。欧州PETボトルリサイクル推進団体PETCOREによると、欧州のPETボトル回収率は生産量の半分程度にとどまる。ドイツの回収率が90%を超える一方で、東欧の回収率は著しく低く改善の余地が大きい。
\