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2011/6/1

ゲシェフトフューラーの豆知識

整理解雇の選別基準、扶養義務よりも年齢が重要

この記事の要約

経営上の理由で整理解雇を実施する際は「社会的選別(Sozialauswahl)」というルールが適用される。これは社会的に弱い立場の従業員などの雇用を優先するというもので、解雇保護法(KSchG)1条3項にはその具体的基準 […]

経営上の理由で整理解雇を実施する際は「社会的選別(Sozialauswahl)」というルールが適用される。これは社会的に弱い立場の従業員などの雇用を優先するというもので、解雇保護法(KSchG)1条3項にはその具体的基準として(1)勤続年数(2)年齢(3)被扶養者がいるかどうか、およびその人数(4)重度の障害があるかどうか――という4つが記されている。では、これら4つの基準が相互にかちあった場合はどの基準を優先しなければならないのだろうか。ここではケルン州労働裁判所が2月に下した判決(訴訟番号: 4 Sa 1122/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのはメーカーの金属加工部門に勤務する53歳の管理職A。同社では整理解雇を実施した際、Aないし同等の能力を持つ35歳の管理職Bのどちらかを解雇することを検討し、最終的にAの解雇を選択した。Bには扶養義務のある子供が2人おり、Aには子供が1人もいなかった。

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Aはこの決定を不服として提訴。年齢的にみて自分には再就職の可能性がほとんどないうえ、今後数年は年金も受給できないと訴え、Bの解雇を要求した。

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第2審のケルン州労裁はこの訴えを認め、原告の解雇の無効を言い渡した。判決理由で裁判官は、若い被用者の方が年長の被用者よりも再就職のチャンスが大きいと指摘したうえで、社会的選別で扶養義務よりも年齢の大小を重視することは不当な差別に当たらないとの判断を示した。

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