欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/6/22

経済産業情報

車載健康管理システム開発にメーカーが注力

この記事の要約

高齢ドライバーが増えていることを受けて、自動車メーカーが運転手の健康管理システムの開発に力を入れている。体や座席に取り付けたセンサーでドライバーの血圧や心拍数などのバイタルデータを測定・収集したうえで、異常を検知すると警 […]

高齢ドライバーが増えていることを受けて、自動車メーカーが運転手の健康管理システムの開発に力を入れている。体や座席に取り付けたセンサーでドライバーの血圧や心拍数などのバイタルデータを測定・収集したうえで、異常を検知すると警告したり、重体と判断すると緊急停車システムを作動させるなどの機能が考案されている。

\

高級車大手BMWの研究開発子会社BMW Group Forschung und Technikは、ベルリンのシャリテー病院などと共同で「緊急停止アシスタント」と呼ばれるシステムを開発している。同システムはドライバーの腕にセンサーを取り付けて心拍数などをチェック。心臓発作などの異常を感知すると車両を路肩に寄せて停止させるとともに、車両の位置情報を救急センターに通報する。

\

フォードは背もたれの部分に心電図センサーを内蔵した自動車用シートを開発した。ドライバーの協力を得て実施した測定試験では、95%の測定精度を達成したという。また、米医療機器大手Medtronicと提携して、インスリンと血糖値を測定するセンサーを開発。取得したデータはブルートゥースを通して車載テレマティクスシステムに伝送され、車載パネルでチェックできるほか、低血糖などの危険な状態になると糖の摂取やインスリン注射などを促すメッセージが発せられる。

\

ダイムラーはフラウンホーファー研究所と提携し、心電図測定ができる車両シート用機能性繊維の開発を進めている。導電性繊維をシートに織り込むのがポイントで、ダイムラーの開発担当者が『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙に明らかにしたところによると、測定が可能なことは確認されている。ただ、運転手が頻繁に座り直し体の位置を変えると測定できなくなるなどの欠点があり、実用化にはなお時間を要するという。

\