欧州の保険大手129社を対象とした健全性審査(ストレステスト)の結果を欧州連合(EU)の欧州保険・年金監督機構(EIOPA)が4日フランクフルトで発表した。最も厳しい危機を想定したシナリオで不合格となったのは全体の10%に当たる13社に上ったものの、これら企業が積み増さねばならない資本金は比較的小さく、EIOPAのガブリエル・ベルナルディーノ総裁は「保険業界は全体的にみて、危機に対する十分な資本金を備えている」との見方を示した。
\今回のストレステストは保険会社に対するEUの次期規制枠組み「ソルベンシーⅡ」に基づいて実施したもので、EU加盟国のほか、スイス、アイスランド、ノルウェーの企業を対象としている。欧州市場における対象129社のシェアは約60%で、合計の資本金額は5,770億ユーロに上る。
\EIOPAが最も厳しいシナリオとして想定したのは債券利回りが1.25%、株価が15%、不動産価格が15%の幅でそれぞれ低下するうえ、200年に1度の大規模な自然災害も到来するというもので、13社が計44億ユーロの資本金不足に陥ると試算した。
\EIOPAはこのほか、過度のインフレが進行した場合と、国債市場がさらなる危機に陥った場合についてもそれぞれ保険会社の資本金リスクを試算。前者では全体の8%、後者でも5%が不合格になることを明らかにした。不合格となった企業の名前はすべて伏せている。
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