金属・化学など電力を大量に使用する工場が、再生可能エネルギー法(EEG)を根拠に巨額の追加負担を迫られている。自家発電装置で電力需要をまかなう民間工業団地にも再可エネ電力助成金の負担義務があるとする判決を最高裁の連邦司法裁判所(GBH)2009年に下していたためだ。独産業エネルギー需用家連盟(VIK)は追加負担が最大で25億ユーロに上ると試算している。6月30日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』が報じた。
\西部ドイツにあるW工業団地は独自の発電装置を設置して、団地内工場の電力需要の大半を賄っており、需要に供給が追いつかなくなった時には外部のB.I.S.社から電力を購入。B.I.S.社からの調達分についてはEEG負担を支払っていたが、団地内で発電し団地内の顧客企業に供給する自産自消の電力については同負担に対象にならないとして支払っていなかった。これに対し同地で送電網を運営していた電力大手のエーオンは工業団地の自家発電分についてもEEG法の助成金負担を要求。W工業団地がこれを受け入れなかったため裁判に持ち込んだ。
\BGHの裁判官は、改正EEG法では「一般の電力網を通して供給される電力にとどまらず、独自の電力網で最終消費者に供給した電力もEEG助成負担の対象となる」との判決を下した。負担義務ありとされた期間は2004~08年の5年間で、W工業団地に入居する企業は後払いを余儀なくされた。
\この判決はこれまでW工業団地以外には適用されなかったが、所轄官庁の連邦ネットワーク庁(BNetzA)は最近になって他の工業団地に対しても後払いを要求するようになった。背景には再可エネの推進に必要な財源を確保しなければならないという事情があるようだ。
\VIKの担当者はFTDに対し「EEG負担があると初めからわかっていれば、エネルギー集約型企業に認められた同負担の軽減申請を行うなど打つ手はあった。しかし、当該期間の軽減申請期限はすでに過ぎており、企業は全額を支払わざるを得ない」と述べ、憤りをあらわにした。
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