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2011/7/13

総合 - ドイツ経済ニュース

全国の予備発電装置、政府がリストアップへ

この記事の要約

老朽原発7基の廃炉と2022年の原発全廃がほぼ確定したことを受けて、連邦政府が電力の供給不足を補う予備発電能力(「待機予備力」「コールドリザーブ」とも言う)の詳細な調査に乗り出した。6日付『ファイナンシャル・タイムズ(ド […]

老朽原発7基の廃炉と2022年の原発全廃がほぼ確定したことを受けて、連邦政府が電力の供給不足を補う予備発電能力(「待機予備力」「コールドリザーブ」とも言う)の詳細な調査に乗り出した。6日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が報じたもので、送電網の監督当局である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は6月、全国の発電事業者に対し従来は統計の対象外だった小型発電装置や不使用の旧型機も含めた全ての設備を届け出るよう通達したという。

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今回の調査の背景には、老朽原発の廃炉によって電力需要の高まる冬季に供給が追いつかず大規模な停電が発生しかねないことがある。原発への依存度が高い南ドイツではその懸念が特に強い。いざという時にピンチヒッターとなりうる発電設備を把握することで、早めの対策を講じることがBNetzAの狙いだ。

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FTD紙によると、調査の対象となった電力生産者は民間・公営の事業者にとどまらず、自宅のソーラーパネルで発電している個人も含まれる。どの時期にどの地域で電力供給不足が起こるリスクがあるか把握するため、BNetzAは定期点検などによる稼働停止計画も報告するよう求めているという。

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業界関係者は「従来は出力100メガワット以下の発電装置は統計上無視できるとみなされてきたが、今回の調査では初めて20メガワット以上の発電装置も届け出の対象にされた」と驚きを隠さない。RWEの広報担当者は「ここまで詳細な報告を求めることから、待機予備力の確保をいかに重要な問題ととらえているかが分かる」と指摘した。

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