欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/7/13

経済産業情報

現金払い出し機の利用拒否で貯蓄銀の敗訴確定

この記事の要約

ダイレクトバンクの顧客に対する現金自動払い出し機の利用拒否をめぐる係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は6日、利用制限の中止と上告不可を言い渡した前審(ミュンヘン高等裁判所)判決に対するインゴルシュタット貯蓄銀行の不 […]

ダイレクトバンクの顧客に対する現金自動払い出し機の利用拒否をめぐる係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は6日、利用制限の中止と上告不可を言い渡した前審(ミュンヘン高等裁判所)判決に対するインゴルシュタット貯蓄銀行の不服申し立て(訴訟番号:KZR 82/10)を却下した。これにより前審判決が確定。同貯蓄銀は他行の顧客に現金払出し機の利用を全面的に認めなければならなくなった。

\

自前のキャッシュディスペンサー(CD)をほとんど持たないダイレクトバンクは、クレジットカード(VISAカード)を使って他行の払出し機から無料でキャッシングできるサービスを提供している。払い出し手数料はダイレクトバンク側で負担する。

\

貯蓄銀行や信用金庫の多くはこの手法を「インフラのただ乗り」として問題視し、利用を拒んできた。今回の係争の当事者となったインゴルシュタット貯蓄銀行はING Diba、Targobank(旧Citibank)、Volkswagen Bankが発行したVISAカードで200ユーロ以下の引き出しに制限を設けるか、引き出しできないようにしたことから、3行がこれを不当として提訴した。

\

ミュンヘン高裁は2010年6月、貯蓄銀行が自行のCDを他行の顧客から締め出すのは不当との判断を示した。その際、上告を認めなかったため貯蓄銀が不服を申し立てていた。

\

今回の判決はインゴルシュタット貯蓄銀のみを対象としており、それぞれ経営母体の異なる他の貯蓄銀行や信金は影響を受けない。また、独信用協同組合連合会(BVR)の広報担当者は、「一部信金の現金払出し機はクレジットカード向けのキャッシングサービスを以前から提供していない。3行のVISAカードだけを締め出しているわけではないので(今回の判決は信金に)そもそも無関係だ」とコメントした。

\