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2011/8/3

経済産業情報

塩素メーカーが効率改善でコスト増に対応

この記事の要約

電力価格の高騰や環境保護に対する関心の高まりを背景に、欧州の塩素メーカーが製造拠点の近代化を進めている。独バイエルはデュッセルドルフ近郊のクレーフェルト工場に高効率・低公害の新プラントを設置、蘭アクゾノーベルも1億4,0 […]

電力価格の高騰や環境保護に対する関心の高まりを背景に、欧州の塩素メーカーが製造拠点の近代化を進めている。独バイエルはデュッセルドルフ近郊のクレーフェルト工場に高効率・低公害の新プラントを設置、蘭アクゾノーベルも1億4,000万ユーロを投資してフランクフルトの生産施設を近代化する。7月26日付『ハンデルスブラット(HB)』紙が報じた。

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塩素は塩酸をはじめとする各種塩化物やポリ塩化ビニルなど合成樹脂の原料となる。また、ポリウレタンなど塩素を含まないポリマーの製造時に中間合成体として用いられるなど、化学基礎原料として多方面で使用される。塩素は塩水の電気分解で製造し、製造1トン当たり3メガワット時の電力を消費する一方、輸送が難しいため顧客企業の近くで製造せざるを得ず、電力料金の安い国外にプラントを移転できないという事情がある。塩素業界団体Euro Chlorによると、欧州内の塩素製造プラントは76カ所で、ドイツ国内には18カ所ある。

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生産能力ベースの最大手メーカーはダウ・ケミカルで、ソルヴェイ、バイエルがこれに続く。ただ、これらの企業は主にグループ内企業に供給している。

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他社向けの生産で欧州最大手はアクゾノーベルで、HB紙によると供給シェアは10%を占める。同社がフランクフルトのヘキスト工業団地に設置する新型プラントは塩素年産能力が16万7,000トンから1.5倍の25万トンに拡大する一方、製造1トン当たり電力消費量は従来のプラントに比べ約30%少ない。また従来型の設備では電極に水銀を使用する水銀電極法を採用しているため、水銀による環境汚染の恐れがあったが、新プラントは隔膜電解法による製造で環境汚染の心配がない。

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