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2011/8/31

経済産業情報

複数拠点勤務の被用者、移動費の税金申告に新指針

この記事の要約

連邦財務裁判所(BFH)はこのほど、2カ所以上の事業拠点で業務を行う被用者の移動にかかる必要経費(勤労控除)の申告基準を簡略化する判断を下した。移動経費が「通勤費か出張費か」をめぐっては被雇用者と税務署との間でしばしば係 […]

連邦財務裁判所(BFH)はこのほど、2カ所以上の事業拠点で業務を行う被用者の移動にかかる必要経費(勤労控除)の申告基準を簡略化する判断を下した。移動経費が「通勤費か出張費か」をめぐっては被雇用者と税務署との間でしばしば係争の種となるが、今回の判決で判断基準が一本化された(訴訟番号:VI R 55/10、VI R 36/10、VI R 58/09)。

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毎日同じ場所で勤務する被用者は、自宅から職場までの距離に応じて1キロメートル(km)当たり30セントの通勤費控除が認められている。また、毎日違う場所で仕事をする外回り業務や工事作業員などでは移動経費が出張費扱いとなり、自家用車で仕事場に行った場合は走行1km当たり30セントのほか、出先の食事代なども控除の対象とできる。これに対し複数の拠点に勤務する被用者の場合、通勤費か出張費かの線引きが必ずしも明確でないという問題があった。

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今回出された判決の骨子は「1被用者につき1勤務地」というもので、勤務地が複数にわたる場合でも「主たる勤務地」はあくまでも1カ所とし、自宅から主たる勤務地への移動は「通勤費」、それ以外の勤務地への移動は「出張費」として扱う。どの勤務地が主たる勤務地になるかは、被用者がそれぞれの勤務地で行っている仕事の重要度によって判断する必要があり、単に特定の場所での勤務回数や時間が多いというだけでは主たる勤務地にならないとしている。

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今回の判決の1件目のケースでは、社用車をあてがわれている被用者が自宅から会社の事業拠点までの移動を「出張費」として申告した。自宅から同事業拠点まで車で来る前に、自宅近くにある電算機施設で毎日メンテナンスをする必要がある、というのがその理由だ。税務署はこの申告を却下したが、BFHは原告の仕事の中心的内容を確認した上で審理をやり直すよう下級審に命じた。

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