製紙世界最大手のUPM Kymmene(フィンランド・ヘルシンキ)は8月31日、出版用紙部門のリストラ計画を発表した。出版業界からの需要減少と原料高騰のダブルパンチで業績が悪化していることに対応。フィンランドとドイツの計2工場を全面閉鎖するほか、存続させる独拠点の一部施設も停止し、年2億ユーロのコスト圧縮を図る。今回の措置によりドイツを中心に従業員1,170人が影響を受ける見通し。
\リストラ計画によると、完全閉鎖するのはフィンランドのコウヴォラ工場と独アルプブルック工場で、アルプブルックで手がけていた生産の一部は独プラットリング工場に移管する。また、独エトリンゲンでは工場の一部を閉鎖する。さらに、販売・サプライチェーン部門で重複する業務を見直しスリム化を図る予定で、今回のリストラによりドイツでは710人が整理される見込みだ。
\UPMのハルトムート・ヴルスター技術部長はこれらの措置について、「出版用紙の需要が長期的に回復する見込みはないと判断した」と説明。過剰な生産能力を抱え続ければコスト負担が増え、競争力を維持できなくなる」として理解を求めた。
\出版用紙の価格は上昇が続いており、『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』紙によると、新聞用紙では景気後退が終了してからこれまでに約25%上昇。1トン当たり530ユーロとなった。これを受け出版各社は◇これまでよりも薄い紙を使用する◇サイズを一回り小さくする◇印刷部数を最低限に抑える――などの措置で対抗しており、需要は低迷している。デジタルメディアの普及も出版需要減の形で製紙会社に打撃を与えている。
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