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2011/9/7

ゲシェフトフューラーの豆知識

出退社時間の虚偽申告で即時解雇

この記事の要約

遅刻した社員の多くはできればタイムカードに虚偽の時間を記入したいと思うだろう。またフレックスタイムの企業に勤めていれば、実際に勤務したよりも長く働いたことにしたいという誘惑に駆られるのではなかろうか。だが、実際にそうした […]

遅刻した社員の多くはできればタイムカードに虚偽の時間を記入したいと思うだろう。またフレックスタイムの企業に勤めていれば、実際に勤務したよりも長く働いたことにしたいという誘惑に駆られるのではなかろうか。だが、実際にそうした不正を働くと、怖い結果が待っているようである。今回は最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が6月に下した判決(訴訟番号:2 AZR 381/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは公的健保に勤務していた事務系の女性職員。職場ではフレックスタイム制が採用されており、職員は出勤時間と退勤時間をパソコンで自ら入力する決まりとなっていた。

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同職員は出勤時間と退勤時間を計7日間、偽って入力。実際の勤務時間よりも13分~20分強、長く勤務したと申告していた。この事実が発覚したため、2008年7月17日付で即時解雇を通告された。

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原告はこれに対し、勤務時間は職場の駐車場に入った時点から始まると主張。職員が50人いるにもかかわらず駐車スペースは27台分しかないため、駐車場所を見つけるのに時間がかかるなどとも訴え、解雇無効を求める訴訟を起こした。

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原告は第1審で勝訴したものの第2審で敗訴。最終審のBAGも第2審の判断を支持した。判決理由で裁判官は、原告が偽って申告した労働時間は計135分におよんでおり、過失とは言えないと指摘。これは雇用主の信頼喪失につながる重大な違反行為であり、即時解雇は妥当だとの判断を示した。原告の勤続年数が長いことや年齢が高いこと、これまで警告処分を受けていないこと、および扶養家族があることなどを考慮しても解雇はやむを得ないとしている。

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