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2011/9/14

総合 - ドイツ経済ニュース

ユーロ加盟国支援に独憲法裁が歯止め

この記事の要約

財政難に陥ったユーロ加盟国への支援は独連邦議会(下院)の予算審議権を侵害し民主主義を掘り崩すとしてユーロに批判的な国会議員や経済学者、法律学者が起こしていた違憲訴訟で独連邦憲法裁判所(BVerfG)は7日、これまでにドイ […]

財政難に陥ったユーロ加盟国への支援は独連邦議会(下院)の予算審議権を侵害し民主主義を掘り崩すとしてユーロに批判的な国会議員や経済学者、法律学者が起こしていた違憲訴訟で独連邦憲法裁判所(BVerfG)は7日、これまでにドイツが行った支援を合憲とする判決を下した。その一方で、今後の支援については連邦議会の承認をそのつど受ける必要があると指摘。財政支援が際限なく拡大し議会のチェック機能が働かなくなることに明確な歯止めをかけた。これにより、財政危機国がドイツなどの信用力を利用して資金を調達できるようにする「ユーロ共同債」構想は大きな足かせをかけられた格好だ。

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裁判は2010年5月に取り決められたギリシャ支援と、ギリシャ危機が飛び火して資金難に陥った国に最大7,500億ユーロの緊急支援を行う新制度「欧州金融安定化メカニズム」をめぐって行われた。憲法裁の裁判官はこれらについては、連邦議会の予算審議権が掘り崩されるような事態が起きていないとして、原告の訴えを棄却した。

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ただ、そうしたリスクが将来的に発生する可能性を踏まえ、新たな支援に向けて国内法を制定する際は連邦議会・本会議の承認が必要だと指摘。その際は支援の総額とあり方を条文に明記しなければならないとした。また、制定された支援法に基づいて支援を行い場合も、連邦議会・予算委員会の承認がそのつど必要だとしている。

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この基準に基づくと、ユーロ共同債構想が仮に実現しても、他のユーロ加盟国が同共同債を発行する際はドイツの予算委員会の承認を毎回、受けなければならず、機動的な運用は難しい。

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ユーロ共同債には財政悪化国の資金調達コストが低下するというメリットがある。だが、財政が安定した国の資金調達コストは逆に上昇するため、ドイツ政府はこれまでのところ拒否の姿勢を堅持している。

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