ドイツ世帯の名目金融資産は昨年、1人当たり6万123ユーロとなり金融危機前の2007年水準を約8%上回った――。保険大手アリアンツが14日発表したレポート(Global Wealth Reports)で明らかにしたもので、資産の安全運用志向がプラスに働いたという。
\アリアンツは世界50カ国を対象に調査を実施。一般世帯が持つ有価証券、保険、銀行口座の総額を調べ、ランキングを作成した。調査対象に不動産は含まれていない。
\金融資産総額が最も多いのは米国で、35兆5,430億ユーロに達した。これに日本(14兆1,720億ユーロ)、英国(5兆670億ユーロ)、ドイツ(4兆9,340億ユーロ)、中国(4兆4,590億ユーロ)が続く。世界の金融資産総額に占める割合は米国が37.31%、日本が14.88%で、両国だけで50%を超える。一方、ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICs4カ国は同7%にとどまった。
\1人当たりの金融資産はスイスが最も多く、20万7,393ユーロに達した。2位の米国(11万1,897ユーロ)、3位の日本(11万1,598ユーロ)を大きく引き離している。
\ドイツ(6万123ユーロ)は同ランキングで17位にとどまった。背景には老後の資金に占める公的年金の比重が大きく個人資産を蓄える必要性が相対的に小さいという事情がある。
\一人当たりの金融資産は資産運用で安全志向が高い国で増加しており、スウェーデンでは07年に比べ約20%拡大した。一方、リスクの高い有価証券への依存度が高い米国やギリシャ、スペイン、アイルランドではこの間、資産額が大きく減少している。
\アリアンツはこのほか、米国や日本、イタリアなど一部の財政悪化国で個人の金融資産総額が公的債務を大きく上回っていることも指摘。こうした国では財政を再建できる余地があるとの見方を示した。
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