ドイツの太陽電池メーカーは他国の競合に比べ、ソーラー発電プロジェクトに大きな影響力を持つ資金供給者(銀行)との関係づくりに消極的だ――。企業コンサルティングのGoetzpartnersと太陽光発電プロジェクト会社Colexon Energyは5日発表したレポートでこう指摘。中国メーカーが低価格を武器に欧州市場への攻勢を強めるなか、受注獲得競争で不利になる恐れがあると警鐘を鳴らした。レポートを先行入手した『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が5日付で報じた。
\金融機関は2008年~09年の金融危機をきっかけに、太陽光発電プロジェクトへの投融資基準を厳格化しており、製品の品質や企業の財務状況などプロジェクトの成否にかかわる事項を厳しくチェックしている。銀行側からみて「バンカビリティが低い」と判断された企業は発注先から外される可能性が高いため、メーカーはバンカビリティを高めるとともに、自社製品の優位性を金融機関側にアピールするなどの努力が求められる。
\先ごろ開催された太陽光発電関連見本市に出展したコメルツ銀行のブースにはアジアメーカーの関係者が大挙して押し寄せ、ほとんど休む間もなかった。同行の担当者は「彼らは受注チャンスが低いことを知っている。だが、銀行との良好な関係なしには受注を獲得できないことも熟知している」と事情を説明する。
\金融機関はソーラーセルの品質を自分の手でチェックできないため、TUeVなどの技術監査機関と提携して審査基準を策定している。Goetzpartnersの担当者は、「ドイツメーカーは技術監査機関との接触を強め、自国メーカーが達成している高い技術水準を基準にするよう働きかけることで、品質面に劣るアジアメーカーを振り落とすことも可能だ」と指摘。銀行だけでなく技術監査機関との連携も強めることを奨励する。
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