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2011/10/19

総合 - ドイツ経済ニュース

独成長率、来年は0.8%に大幅低下=秋季予測

この記事の要約

Ifoなど国内外の主要経済研究所は13日発表した共同作成の『秋季経済予測』で、2012年の独国内総生産(GDP)成長率を春季予測の2.0%から0.8%へと大幅に下方修正した。ユーロ危機をはじめとしてドイツ経済を取り巻く環 […]

Ifoなど国内外の主要経済研究所は13日発表した共同作成の『秋季経済予測』で、2012年の独国内総生産(GDP)成長率を春季予測の2.0%から0.8%へと大幅に下方修正した。ユーロ危機をはじめとしてドイツ経済を取り巻く環境が夏以降、大きく悪化したため。ユーロ加盟国の財政危機問題に関しては、これまでの対応が問題解決につながっていないと明確に批判するとともに、金融システムを破たんさせない形で加盟国がデフォルト(債務不履行)を選択できるメカニズムを創出するよう提言した。

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秋季予測は世界経済の見通しが今夏に大きく悪化したと指摘、特にギリシャなどユーロ加盟国の財政危機は信用危機に発展し、銀行の融資抑制を通して実体経済にも波及しかねないとの見方を示した。

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中国などの新興国で経済成長が鈍化しているため、ドイツ経済のけん引車である輸出の減速も避けられないという。

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ギリシャ国債については21%の価値引き下げを取り決めた7月のユーロ圏首脳会談合意を超える債権放棄が避けられず、銀行や保険会社などの国債保有者がさらなる損失を被ると予想している。ただ、そうした形で危機が進んでもリーマンショック規模の金融危機が到来する可能性は低いというのが秋季予測の見方だ。

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こうした経済環境を受け、ドイツのGDP成長率は2011年の2.9%から来年は0.8%へと急速に低下。また、今年第4四半期にはわずかながらマイナス成長となる見通しだ。ただ、来年第1四半期にはプラス成長に転じるため、リセッション(2期連続のマイナス成長)にはならないという。

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今回の予測では時局柄、ユーロ危機への対応が重点的に取り上げられた。ギリシャ問題の発生からこれまでの対策については、危機が深刻さを増すたびに支援額を増やしデフォルトをひとまず回避するというもので、問題解決につながっていないと指摘。こうした手法をずるずると続ければドイツなど支援する側の国も財政が悪化し、ユーロ圏全体で財政赤字問題が大きくなるだけだと批判した。

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そのうえで財政悪化国の秩序だったデフォルトの仕組を構築することが必要と指摘。デフォルトによって金融機関が巨額損失処理の追われる場合は、資本注入を行い実体経済に悪影響が出ないようにするよう提言した。

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秋季予測はドイツの財政赤字にも言及。累積財政赤字の対GDP比率が昨年84.0%となり前年の74.2%から約10ポイントも膨らんだと指摘し、財政再建の手綱を緩めないようくぎを刺した。

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