ドイツ機械工業連盟(VDMA)は先ごろ国連食糧農業機関(FAO)と共同で「Save Food」イニシアチブを立ち上げた。アフリカなどの途上国で技術・インフラが不足し大量の農産物が破棄されている現状を改善することが狙い。特に腐敗や損傷から農産物を守る包装技術に主眼を置く。15日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
\スウェーデン食品・バイオテクノロジー研究所がFAOの委託を受けて実施した調査によると、保管技術や設備がないために流通・加工段階で損傷したり腐敗する作物は、途上国の生産量全体の4割以上に達する。特に包装、冷蔵、貯蔵分野で立ち遅れが目立つという。
\アフリカ諸国というと「最貧国」「重債務国」といった悪いイメージがつきまとうが、同地域に機械を輸出するメーカーは、そうしたイメージは「もはや当たらない」と口をそろえて指摘する。ドイツ政府がアフリカ向け輸出で貿易保険の引き受け条件を緩和していることも追い風となっており、自動車部品大手ボッシュの包装機械部門ではアフリカ市場の売上シェアが全体の7%に過ぎないものの、「安定成長が続いている」(取締役)。
\アフリカ向け輸出では新品に比べ価格の低い中古品の需要が高い。また、◇技能訓練を受けた専門家が少ない◇停電は日常茶飯事◇気候条件がドイツより厳しい――といった事情から、操作が簡単で壊れにくい「ローテク機械」が求められる。
\ただ、最先端技術が必要ないため、中国やインドのメーカーが攻勢を強めている。VDMAによると、中国メーカーは特に飲料充填機で急速に勢力を伸ばしており、ドイツメーカーもシェア獲得に向けて取り組みを強化する必要があるという。
\