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2011/10/19

経済産業情報

ホウ素系水素吸蔵材、新たなナノポーラス構造開発

この記事の要約

水素の貯蔵材料として有望視されている水素化ホウ素マグネシウム(Mg(BH4)2)で、これまで知られていなかった新たなナノポーラス構造を作成することにスイス・ジュネーブ大など欧州4カ国の国際研究チームが成功した。従来の構造 […]

水素の貯蔵材料として有望視されている水素化ホウ素マグネシウム(Mg(BH4)2)で、これまで知られていなかった新たなナノポーラス構造を作成することにスイス・ジュネーブ大など欧州4カ国の国際研究チームが成功した。従来の構造に比べ低温で水素吸着・放出が可能なほか、窒素やジクロロメタンも吸蔵できるという。

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Mg(BH4)2はこれまで、α構造とβ構造と呼ばれる2種類の構造が知られていた。チームが今回作成に成功したのは、そのどちらとも異なる新たな構造(γ構造)で、多面体構造をした水素・マグネシウム結合(MgH8)と線状構造をしたMg-BH4-Mgフラグメントが組み合わさった多孔質構造となっている。多孔質構造内部の空隙部の割合(空隙率)は33%。水素の吸蔵率は化学吸着(共有結合)によるものが重量当たり密度で15wt%、さらに物理吸着によっても3wt%吸蔵する。

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同構造はさらに、圧力をかけると原子配列がまったく不規則な状態(アモルファス)を経由してピラミッド型の密な分子構造に変化する(δ型)。δ型の密度はγ型に比べ79%高く、この状態の時の水素密度は液体水素の密度に匹敵するという。

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研究チームの関係者は「化学吸着と物理吸着の組み合わせは実用性に乏しいものの、高効率の水素吸蔵材開発の手がかりとなる」として、研究の進展に期待を示した。

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研究の成果は『Angewandte Chemie』に掲載された。

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