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2012/3/7

経済産業情報

独特許訴訟制度を国内外の企業が活用

この記事の要約

知財権関連の裁判をドイツで起こす企業が増えている。特許侵害と特許の有効性を担当する裁判所の管轄が分かれている(ダブルトラック制)うえ、特許問題を担当する地方裁判所も決まっているため、審理にかかる時間やコストを大きく節減で […]

知財権関連の裁判をドイツで起こす企業が増えている。特許侵害と特許の有効性を担当する裁判所の管轄が分かれている(ダブルトラック制)うえ、特許問題を担当する地方裁判所も決まっているため、審理にかかる時間やコストを大きく節減できるためだ。最も訴訟提起のが多い裁判所はデュッセルドルフ地方裁判所で、マンハイム、ミュンヘン、ハンブルクも存在感がある。2月29日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。

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2011年にドイツ国内で提起された特許侵害訴訟は900件に達した。英国の54件、オランダの50件に比べ格段に数が多い。最も件数の多いデュッセルドルフではおよそ600件と半分以上の案件を担当し、外国企業が原告のケースはこのうちの6割を占める。

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ドイツで訴訟を起こす大きなメリットは費用が安いことだ。デュッセルドルフ高等裁判所の裁判官の試算によると、ドイツ国内での訴訟費用を15万ユーロとすると、英国では同じ案件で争うのに100万ユーロ近くの費用がかかる。米国や日本でもほぼ同額を要するという。

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費用がかからない大きな理由は、結審までのスピードが速いことにある。具体的には◇ドイツでは審理開始前に行われる証拠開示手続きが英米に比べて簡単◇特許問題を管轄する裁判所が決まっており、担当裁判官が知財案件処理に精通していることが多い◇ダブルトラック制の効果により、被告が特許無効の抗弁を防御方法として利用することができない――ため、いたずらに審理が長引くことがない。

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