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2012/3/21

ゲシェフトフューラーの豆知識

採用差別の損賠請求期限で最高裁判決

この記事の要約

企業の人材募集や昇進手続きで差別を受けたと感じた人が一般平等待遇法(AGG)に基づく損害賠償の支払いを要求する場合、不採用/昇進見送りの通知を受け取ってから2カ月以内に文書で請求しなければならない。これはAGG15条4項 […]

企業の人材募集や昇進手続きで差別を受けたと感じた人が一般平等待遇法(AGG)に基づく損害賠償の支払いを要求する場合、不採用/昇進見送りの通知を受け取ってから2カ月以内に文書で請求しなければならない。これはAGG15条4項に明記されたルールである。また、同項にはこれに続く形で、「それ以外の場合は従業員(応募者)が差別を感じた時点から2カ月以内」とする規定が明記されている。この条項に関する判決を最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が15日に下したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号: 8 AZR 160/11)。

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裁判を起こしたのは州が管轄する刑務所の教育係のポストに応募した重度の障害者。応募に際しては障害者であることを証明する文書を添付した。

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被告州は2008年8月29日付の文書で不採用を通知、これを9月2日に受け取った原告は書類審査で振り落とされ面接に進めなかったことから、障害者差別に当たるとして損害賠償の支払いを請求する文書を送付した。州は同請求文書を11月4日に受領した。

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原告はさらに損害賠償訴訟を起こしたが、1審から最終審までのすべてで敗訴した。最終審であるBAGの裁判官は判決理由で、原告は不採用通知を受け取った9月2日の時点で差別を受けた兆候があることを知ることができたと指摘。それから2カ月超が経過した11月4日に損賠支払いを州に請求しており、請求権は消滅したとの判断を示した。

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