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2012/4/4

経済産業情報

マイクロソフトが出荷センターを独から移管、特許訴訟受けて

この記事の要約

米マイクロソフトが欧州出荷センターをドイツからオランダに移管することが2日、明らかになった。同社はドイツで米モトローラから特許訴訟を起こされており、裁判で敗れると同国から製品を出荷できなくなる恐れがあるため、安全を期して […]

米マイクロソフトが欧州出荷センターをドイツからオランダに移管することが2日、明らかになった。同社はドイツで米モトローラから特許訴訟を起こされており、裁判で敗れると同国から製品を出荷できなくなる恐れがあるため、安全を期して事業拠点を国外に移す。

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モトローラは昨年7月、マイクロソフトをマンハイム地方裁判所に提訴した。動画データ圧縮の標準規格H.264に関する自社の特許2件を侵害されたと主張している。判決は17日に下される予定だ。

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モトローラが勝訴すると、独西部デューレンの出荷センターにあるマイクロソフト製品は販売を禁止される恐れがある。このためマイクロソフトはオランダに出荷センターを設置して製品を急きょ移送。敗訴後も欧州各国に製品を安定出荷できる体制を整える。

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特許問題の専門家フロリアン・ミュラー氏が『ヴェルト』紙に語ったところによると、ドイツの裁判所は他の先進国に比べ販売禁止命令を出す傾向が強い。このため国外企業が意図的にドイツで訴訟を起こすケースが多いという。

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マンハイム地裁は移動通信技術に関する特許訴訟に強く、同裁ではサムスン電子とモトローラがそれぞれアップルを提訴。特許管理会社のIP-Comもノキアを相手取って裁判を起こしたことがある。

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特許訴訟を受けて企業がドイツから事業拠点を移管したのは今回が初めて。特許をめぐる裁判が産業立地競争力にも影響を及ぼすことに懸念が出ている。

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マイクロソフトは今年2月、モトローラは標準特許で不当に高い特許料支払いを要求しているとして、欧州連合(EU)の欧州委員会に苦情を申し立てた。これを受けて欧州委のアルムニア委員(競争政策担当)は標準特許の濫用は許容できないと3月30日に明言。正式調査への着手を検討していることを明らかにした。

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